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ダイコン新品種‘スサノ オ’「出雲おろち大根」

執筆者の写真: 西澤西澤

 

 地方の人口減少や高齢化が進行する中,農業・農村の価 値が再認識され,地域資源を活用した取り組みにより地域 活性化を目指す地方創生の動きが国内各地で展開されてい る(農林水産省,2016).

 地域の植物遺伝資源を活用した 新たな特産農産物の開発もこれらの地域活性化の重要な要 素のひとつである.また,現代社会では食生活の改善によ る予防医学が重要視され,なかでもアブラナ科野菜に含ま れるグルコシノレートから生成される辛味成分イソチオシ アネートが有する発がん物質を解毒する酵素の活性を高め る効果が世界的に注目されている(Fahey ら, 1997).



 アブ ラナ科ダイコン属の辛味ダイコンはイソチオシアネートの 前駆体であるグルコシノレートを豊富に含有することか ら,抗菌,抗変異原,発がん抑制作用などの食品機能性が 高い野菜として評価されている(Nakamura ら, 2001; 塚越 ら, 2011).

  我々は島根県出雲地域の宍道湖畔や島根半島の浜辺に自 生するハマダイコン(Raphanus sativus L. f. raphanistroides Makino)を選抜育種により品種改良し,ひげ根の多い根部 形状と強い辛みの特徴を有するダイコン新品種‘スサノ オ’(ブランド名「出雲おろち大根」)を育成し,島根県を 中心に普及を推進している(小林,2010).

  この新品種については,根部成分に関して青首ダイコン 品種の‘耐病総太り’と比較して還元型アスコルビン酸, イソチオシアネート,ポリフェノールおよび可溶性固形物 含量が高く,糖組成も含めて辛味ダイコン‘辛丸’と同等 であり,さらに収穫時期によりこれらの成分が変化するこ と(伴ら,2009)や,地上部乾物重は他のダイコン品種に 比べて大きく,高い光合成能力を有すること(門脇ら, 2010)が明らかになっている.

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